説得と交渉に関する研究と実践
日本説得交渉学会創設の経緯
学会創設時の榊博文教授
「日本説得交渉学会」は、2007年、榊 博文(当時、慶應義塾大学教授)が、高潔なる人物、深田博己氏(当時、広島大学教授)に学会創設の話を持ちかけ、その年の夏、東京駅八重洲口のブックセンターで座談が繰り広げられ、優れた思索が交差し以下のような理念が交わされて設立された学会です。
日本人は対立よりも和を重視し、こちらが譲歩すれば相手も譲歩すると考える故、日本人同志ならこれでもよい場合が多いが、国際化が急速に進展する中、日本の企業が諸外国の企業と説得・交渉をする時、及び日本政府が諸外国の政府と説得・交渉をする時、この考え方は通用せず、こちらが一歩譲歩すれば相手は一歩前に出てくる。
日本はアジア太平洋地域のみならず世界における平和と安定に貢献するため、他国との協力や連携が重要であること。
他国からの軍事的脅威を低減させ、同時に安全保障政策を維持発展させるために、説得・交渉能力が必要であること。
又、世界経済面においても、貿易、投資等の国際的経済関係を築くため、及び国内の経済の健全な発展のために、説得・交渉能力が必要であること。
気候変動、人道支援、食料安全保障等々においても日本が他国の信頼を得、他国に貢献するため、一層の説得・交渉能力が必要であること。
要は、日本にとって、外交、説得・交渉の技術や戦略は、ますます複雑化する国際間の諸問題に対処し、国益を守るために重要不可欠であり、日本が国際社会において「名誉ある地位」を占めるべく、民族の生死をかけた国家間議論をするなどの点において深田博己教授と意見が一致しました。
深田教授も学会創設に深く賛同され、学会の名称を「日本説得交渉学会」とすることが決まり、多くの皆様のお力添えをいただき、2008年9月には学会の礎となる「日本説得交渉学会第1回大会発表論文集」が発行され、その翌月、10月25日と26日には、「日本説得交渉学会第1回研究発表大会」が慶應義塾大学三田キャンパスにて盛大に開催されました。
また2008年12月には学会の精神を象徴する「日本説得交渉学会会報第1号」が発刊されました。
そして、2009年3月には学会誌「説得交渉学研究第1巻」が誕生し、その高邁なる学術性と知の価値が讃えられました。
こうして、学会は威厳ある歩みを重ね、学術界における一層の輝かしい地位を築き上げ、学会が歴史的な進歩を達成する第一歩を踏み出すに至ったのです。